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| 名古屋港にはいくつかの河川が流れ込んでいます。河川は上流から水を運ぶと同時に細かい土砂も運ぶため、下流にある名古屋港の底に堆積します。そのため、近年増加している大型の船舶が安全に航行できるよう、常に堆積し続ける土砂を取り除かなければなりません。また、名古屋港は、堆積した土砂を浚渫(しゅんせつ)し、その土砂を埋め立てて広げられた人口の港です。今回は、名古屋港の浚渫作業に携わっている東洋建設株式会社名港東航路作業所の下河所長にお話を伺いました。 |
| 下河さんは、昨年11月末からおよそ1ヶ月間に、名古屋港で船舶が航行する通路である、東航路にあたる金城ふ頭の南側を浚渫しました。その時の面積は50,670平方メートル、これは、堆積している土砂を取り除き、大型の船舶が安全に航行できるように水深15mを確保するための工事です。作業には一度に20立方メートル(20フィートコンテナの約半分)の土砂をすくうことができるバケットを持つ浚渫船などを使用しました。船舶の往来が多いこの辺りの作業では、アンカーを打つ必要がないため、自由に移動できるグラブ浚渫船が最適なのです。 |
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| 下河所長 |
| バケット | また、グラブ船で浚渫された土砂は、バケットで持ち上げられた際に水切りされるので、浚渫後の埋め立て作業もスムーズに行なわれます。グラブ浚渫船は、浅い海を開拓し、その資源を有効に利用して発展してきた名古屋港には欠かせない船です。 一日の作業時間はおよそ6時間。船舶の往来が少ない土日を中心に行います。平日に作業を行なう際には、名古屋港管理組合のホームページにある「船舶入出港情報」で船の動きをチェックします。 |
| 下河さんはホームページがなかった頃は、午後4時に開催される「バース会議」終了後に本組合まで毎日足を運んで確認されていたそうです。船舶入出航情報で安全な作業時間を確認した後、作業に入ります。 |
浚渫はGPS(全地球測位システム)を使って位置を確認しながら行ないます。以前は竹竿をたてて場所を確認しながら作業を行なっていましたが、現在では、作業に要する時間も短縮され、船舶の往来にも素早く対応できるようになり、精度も向上しました。しかし、グラブの操作は昔も今も人間が行います。目で見ることができない海中を決められた深さに浚渫しなければならず、作業員の高度な技術が必要になります。 |
| 作業員が事故を起こさないように、また、事故に巻き込まれないようにするためには、「安全性の確保」が必要になります。特に、航路内で事故が発生すると、港湾の全体に影響を及ぼすだけでなく、名古屋港を経由する陸上の物流システムにも影響を及ぼします。そのような事態が発生しないように、東洋建設株式会社では独自の方法で作業工程を管理しています。作業に関わる企業には「協力会社 安全関係提出書類」を提出してもらい、作業に関わるあらゆる情報をチェックしています。 |
| また、全ての作業員に指示が伝わるよう、月、週、日単位でミーティングを行ない、作業内容の周知徹底、安全に対するモチベーションを維持しています。作業員の入れ替わりが多い建設業界ではこのようなきめ細かい配慮によって事故を未然に防いでいるのです。 正確に測られた位置に巨大なバケットが入り大量の土が持ち上げられます。浚渫された土はシルト系といい、そのまま埋め立て用の土として利用するのが難しく、固化処理をしなければなりません。そのために水分を抜く必要があります。バケットで浚渫された土は水分に触れないよう、空気圧送船により、1時間あたり1500立方メートルの量が埋立地に運ばれます。 |
空気を使い浚渫土を大量に送る |
このような作業をする上で、環境の配慮も怠っていません。浚渫作業は、土が海水を濁さないように汚濁防止枠で囲み、その中で行ないます。また、海中には、汚濁防止膜を設置して、汚濁が広がらないように工夫しています。 名古屋港ではこのような作業が常に行なわれており、世界に通用する港湾を維持し続けています。 |
| 下河さんのもっともやりがいを感じるときは、「浚渫作業後に水深が以前よりも深くなっている海図をみるとき」ということで、作業後に改訂された海図を楽しみにされています。また、「今後、名古屋港には今以上に大型の船舶が往来し、世界中から注目を浴びるようになると、作業時間の短縮、安全の確保などさらに厳しい条件で作業をしていかなくてはならない。課題は絶えず出てくる。」とも話してくださいました。厳しいながらも温かい目で名古屋港を見つめながら、今日も下河さんは浚渫作業に携わっています。 |